■■ get drunk? ■■





打ち上げも終わって、酒も少し残ったまま店の前で解散になった。

「宮田さんは電車ですか?」
「ぅん…鳥ちゃんも?」

はい、と頷くと宮田さんは赤い顔で腕を絡ませて来て。

「じゃあ一緒だぁっ」
「…酔ってますね?」
「む…酔ってないよ!」
「酔っ払いは皆そう言うんです」
「鳥ちゃんのばかぁ!いぢわるぅ!」
「はいはい…」

ふと他の参加者を見ると、完全に宮田さんを俺に任せる顔をしていて。

「頑張れ!」
「襲っちゃ駄目ですよ!」

なんて要らん言葉まで貰ってしまった。

「じゃ宮田さん、行きますよ」
「はぁい」

宮田さんは酔うと甘え癖が出るのかスキンシップが増える。
普段なら絶対しない腕組みまでして来て。

「ねぇ鳥ちゃん」

二人で歩き始めて駅に着く少し手前で、宮田さんは囁く様に喋った。

「ごめんね、迷惑かけて…」
「気にしないで良いですよ」
「んっ…」

腕に力が込められる。

「宮田さん…?」

見れば宮田さんは瞳にじわりと涙を浮かべていた。

「僕、皆に迷惑かけてばっかり…絶対嫌われてる…」

ぐずぐずと泣き出しそうな宮田さんに思わず柄にもなく慌ててしまった。

「そんな事無いですよ!ね?」

慌てて諭すと、下を向いていた宮田さんは顔を上げ此方を見た。

「ホント…?」
「ええホントです」
「鳥ちゃんは…?」

質問をされて、一瞬ドキリとした。

「…好きですよ」
「ホントに?ホントに鳥ちゃん、僕の事好き?」
「はい」

下心を読まれた気がした。
が、相手は酔ってる宮田さんだと自分を落ち着ける。

「僕も鳥ちゃん、大好きだよ」

笑顔のこの一言が、俺の何かを壊した。

「ッ…宮田さん」
「なぁに?」
「キス、して良いですか…?」
「うん、良いよ」

宮田さんが答え終わった瞬間に、肩を掴んで顔を寄せた。
触れた唇は少し開いていて、そこから舌を差し込む。

「んぅッ…ん…」

ゆるゆると動く舌を絡め取り、口内を犯す。

「ふはっ…はぁ…」

唇を離すと、宮田さんは赤かった顔を更に赤くしていた。

「鳥ちゃん、ヤラシィ…」
「褒め言葉として取っておきます」

その場に立ち尽くす宮田さんの手を取って、電車が来るからと歩き出す。

「鳥ちゃんっ」

宮田さんはまた腕を絡めて来て。
きっと先刻の事全部覚えてないんだろうなぁ、なんて心の隅で寂しく思った。





▲end