■■ pillow talk ■■





宮田さんは華奢だと思う。
確かに俺より背も低いから、体重だって軽くて当然なのだが。
抱き締めた時の小さな肩とか、細い腰とか、掴んだ手足は掌に収まってしまって、まさしく華奢としか言いようが無い。

「宮田さん…華奢」

ベッドに腰掛け、横になった宮田さんの肩をそっと撫で上げる。
宮田さんは少し気怠そうで。

「そんな事無ぃ…ょ…」
「何言ってるんですか、こんなに細い腰して」

肩を撫でていた手を腰へと移す。

「んっ…ちょ、さくっ…ぃくん…ッ」
「何ですか?」

俯せに寝ている宮田さんの腰の辺りをゆるゆると撫でながら問う。

「触り方…が、やらし…ッ」

肩から上を起こして、恨めしそうに此方を見上げて来る。
目元が少し赤く染まって、艶めいた瞳をしていて。
そこに顔を寄せ、耳元で囁く。

「あんな後なのに…足りないですか…?」

すると宮田さんは、バッと体を離し、耳を抑えながら俯せから横向になって此方に向かって身構えた。

「櫻井君ッ!!」

真っ赤な顔で睨みつけて来る宮田さんに、意地悪く微笑む。

「何ですか?」
「そゆっ…恥ずかしい事言わないでっ!」
「恥ずかしい事? 恥ずかしい事…って何ですか?」
「何…って…」

昨夜の事を思い出したのか、宮田さんは恥じらいながら目線を逸らす。

「宮田さんがつけた背中の爪痕、まだヒリヒリしてますけど」
「ッ!だからそういうのっ!」

逸らされた瞳がまた此方を向く。

「でも宮田さんが離してくれなかったんですよ?」
「やっもうっ言わないでったら!!」

宮田さんは両耳を手で覆って枕に顔を埋めてしまったから、むき出しの背筋を指でなぞる。

「宮田さんの肌、凄く滑らかで…」
「やーだー!」

すると宮田さんは、突然飛び起きたかと思うと両手を俺の口に当てた。

「嫌だってば!」

上目遣いで此方を睨み上げる宮田さんの瞳は少し熱っぽくて。
嗜虐心を煽られて、少しだけ開いていた口から舌を出して宮田さんの手を舐める。

「ッ?!」

思わず手を引っ込めてしまった宮田さんは驚きで瞳を丸くしている。

「他の所も舐めて欲しいですか?」

口の端を上げると、宮田さんは益々赤くなって。
そんな宮田さんが可愛くて、顔を近付け、耳にキスをする。

「んっ…」

俺が少し意地悪になるのも、全部全部、貴方が可愛いから。

「愛してます」





▲end