■■ dear my princess ■■
宮田さんってどこか危なっかしい所があるから、心配で目が離せない。
大切にしたい、守ってあげたい。
離したくない。
「宮田さん」
「なぁに?」
二人でソファーに座ってるのに、俺は宮田さんを後ろから抱き締める形で。
宮田さんの細い腰に回した腕はしっかり組んである。
まあ、俺が頼んでこんな恰好なんだけど。
「もっと寄っ掛かって良いですよ」
「でも、重くない?」
「大丈夫ですから」
「うん…じゃあ、ちょっとだけ、ね」
すると、遠慮がちに胸に小さな圧力が掛かる。
だけどやっぱり全然苦にならない。
寧ろこんなに近くに、直に宮田さんを感じる事が出来て嬉しい位で。
肩口に顔を埋めると、宮田さんの匂いがする。
そのまま肩筋にちゅ…と口付ける。
「んっ…浪川く…」
「どうかしましたか?」
何事も無かったかの様に問うと、宮田さんは「むー…」と小さく唸った。
此方からは表情は読み取れ無いが、きっと唇を尖らせているに違いない。
すると宮田さんは、回していた俺の腕をそっと撫で、組んでいた手に指を絡めて来た。
そして、絡めた指先を口元に持って行って、ちゅ…と俺の手の甲にキスを落とした。
「浪川君ばっかり…ずるいよ…」
少し俯きながら言われた言葉に、宮田さんの方が余程、と言いかけて止める。
「宮田さん、こっち向いて」
「え、でも…筋違えちゃ…」
天然な解答に笑顔が漏れるが、体ごと此方に座り直す様に促す。
「ょいしょ…。これで良い?」
宮田さんが俺の太腿に跨がる形で座って向かい合う。
宮田さんは俺の首に、俺は宮田さんの腰に腕を回す。
「この方が宮田さんの可愛い顔、ちゃんと見えますから」
微笑んで言うと、案の定宮田さんは顔を朱色に染めた。
「別に可愛くな…」
「それに」
宮田さんの言葉を遮って言葉を続ける。
「キスもしやすいでしょ?」
にこりと微笑むと宮田さんは、瞳を丸くして益々顔を赤らめて体を離そうと肩を押して来たけど、
腰に回した腕に力を込めて離さない。
「キス、嫌ですか?」
寂しそうに聞けば、宮田さんは申し訳なさそうな表情を浮かべて「嫌じゃない…」と恥ずかしそうに呟いた。
その姿が余りにも可愛くて、手放したくなくて。
深く永く口付けた。
▲end