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好きな人の誕生日なんだから、喜ばれるお祝いをしてあげたい。

「…で?」
「で、じゃないですよ!」
「大体、何で俺がお前に宮田さんの好みを教えなきゃならんのだ」
「だって!杉田さん、宮田さんと仲良さそうだから…」
「つかお前、フラれたんじゃなかったのか?」
「それは俺の勘違いだったから良いんです!」

T橋さんが恋人なのかと思ってたらどうやら早とちりだったみたいで、そうじゃなかったらしい。

「あ、そう…。で、俺はみすみすライバルを増やすのか」
「だって!杉田さん、宮田さんの事好きだとか言わなかったから…!」
「あーあー言わなかった俺が悪かったよ」
「も…教えて下さいよぅ…」
「…宮田さんなら、お前が一生懸命に選んだ物なら何でも素直に喜んでくれると思うけどな」
「一生懸命…」
「そういう人だからな…あの人は」

そう言って明後日の方向を向いた杉田さんの横顔は、相手の手強さを溜息一つで表現していて。

「ま、精々頑張れ。負けるつもりは無いけどな」
「おっ俺も、負けないですよ!!」
「おうおう、頑張れ頑張れ」

負けたくない。
宮田さんが、好き、だから。





▲end