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『達央君はセンス良いから、素敵なプレゼント期待してるね』
…なんて、妙なプレッシャーを掛けられて一週間。
あんな風に言われたら逆に何あげたら良いか解らなくなってしまう。
此処は無難にアクセサリーとか…?
「たつひさくん」
突然耳元で甘く囁かれて吃驚して振り返ると、元凶の人がにっこり微笑って立っていた。
「宮田さん…」
こういう時、この人は狡いと思う。
無邪気な笑顔で俺の心をかっさらう。
それが計算だとしたら、俺はとんだ策士にはめられたのかもしれない。
「どうしたの、難しい顔して」
「どうしたも何も、宮田さんがプレゼント欲しいっつーから…!」
「えっ…」
宮田さんは意外そうな顔をして俺の顔をまじまじと見詰めた。
「ホントに…くれるの…!?」
「…は?」
「あの…本当にくれると思わなくて…」
今度は俺が驚く番。
だって宮田さんが…。
「ほ、ホントにくれる…?」
そんな風に上目遣いでお願いされたら、あげなくても良いかも…なんて考えは粉砕されてしまった。
「あげますよ、とびっきりの」
「ホントッ?有難うっ!」
とんだ天然にハメられた。
あの笑顔が可愛い、なんて。
▲end