■■ Y ■■
貴方にだけは、嫌われたくないんだ。
「宮田さん、これ」
「…なぁに?」
「あげます」
「…何、これ?」
「開ければ解りますって」
「うん…」
がさごそと豪快に開封された袋の中身。
「指輪…?何で…」
「宮田さん、誕生日近いでしょ」
「うん、9日」
「此間予定聞いたら開いてないって言うから、早いけど誕生日プレゼントです」
そう、本当は当日に、貴方の顔を見て言いたかった。
「あの…気に入りませんでした?」
「まさかっ!凄く嬉しいよ、有難う!」
無邪気に微笑う貴方は花の様で。
その表情が見たくて必死になってる自分が居て。
信じたくなかった。
自分の世界には自分だけが居れば良かったから。
そんな俺が、貴方にこんなにも堕ちているなんて。
「喜んで貰えて良かった」
貴方の言動に一喜一憂するなんて、本当、自分らしくない。
「折角福山君がくれたんだもん、大事にするね」
嗚呼、無情にも貴方は可愛い笑顔で残酷な事を言う。
「おめでとう…御座います…」
貴方の瞳に、本当に俺は映ってるのか…?
嫌われたくない。
好かれたい、好かれたい、愛されたい。
▲end