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「酒、買って来ましたよ」
「有難う」
「…良いんですか?宮田さん、あんま強くないのに」
「いーのッ!」

夕刻尋ねたら唐突に酒買って来いと言われた。

「…今日が何の日か知ってる?」
「何の日…って…」

今日の宮田さんはおかしい。
いや、普段から何処か他人とズレてるけど。

「宮田さんの誕生日」

宮田さんはフローリングの床に座ったまま、ぽかんとした表情で立ったままの俺を見上げてる。
無防備な、可愛い顔。

「知ってたの…?」
「だって…恋人の誕生日ですから」
「こ…ぃびと」
「…違ったんですか?」
「ッ、違わない!」

子犬が飛び付いて来るみたいに反応した宮田さんが本当に可愛くて。
買って来た酒缶を開け口に含み、座っている宮田さんの真正面に座る。

「鳥ちゃ……んぅ…」

こくり、と喉が鳴って酒が飲み込まれた。

「っは…ぁ」
「誕生日、おめでとう御座います」

酒よりも唇の甘さにとろけそうで。

「はいプレゼント」
「これ、指輪……大事にするっ」

胸元で指輪を握り締めて、此方を見詰める姿に思わず胸が熱くなって、細い躰を抱き締めた。

「苦しいよ…鳥ちゃん…」
「…愛してます」





▲end