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一ヵ月も前から用意してたんだ。
好みもバッチリ調べて、抜かりは無い筈。

「幸季さんッ」
「…森田君」

大声で呼んだら、凄く可愛い表情と声で応えてくれた。

「どうしたの?」
「今日、誕生日ですよね?」
「っうん!何で知ってるの?」

へへ、と笑って誤魔化して、鞄から白い袋を取り出す。
何となく、幸季さんには白が似合う気がしたから。

「開けて良い?」

勿論、と頷いて幸季さんをじっと見詰める。
真っ白い包装紙の中の小さな箱。

「指輪…?」
「気に入って貰えれば良いんスけど」
「うんっ…有難うっ!凄い嬉しいっ!」

待ち侘びた、恋い焦がれた大輪の笑顔に胸が熱くなる。

「サイズ合いますか?」
「うーんとねぇ…」

細い指一本一本に指輪をはめてみる内、幸季さんは小さな声を上げた。

「見て、森田君!薬指!」
「ピッタリですか?」
「うん!」

きらきら微笑って、指輪を俺に見せてくれる。

「幸季さん」
「?」
「それ、左手ですけど…」
「え、あっ」
「俺は別に、そのまんまでも構いませんけど」
「えっ…」

林檎みたいに赤くなってしまった幸季さんに、一言。

「誕生日、おめでとう御座います」





▲end