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「お誕生日、おめでとう御座います」

時計にゼロの文字が並んで、貴方に一番にお祝いを捧げた。

「有難う」

はにかんで微笑む貴方はとても綺麗で。

「…似合う、かな」
「とても」

白魚みたいな綺麗な指に、俺が恐る恐るはめた銀色の指輪。

「大事にするね」

そう言って貴方は、左手の薬指にあるそれに口付けを落とした。

「杉田君は…明後日だね」
「はい」
「イベント…行けなくてごめんね」
「そんなっ…一緒に居る約束をして頂けただけでも…」
「…無欲だなぁ」

苦笑して、貴方は俺の頬に手を添えて、こつん、と額に額を押し当てた。

「じゃあ、僕からのプレゼント、楽しみにしてて」

ぱっと顔を離し、悪戯っぽく微笑えんで。

「吃驚させてあげる」

俺を鮮やかに翻弄する貴方に、かなう術なんか無くて。

「楽しみにしてます」

そっと瞼に口付けて、お休みの合図。

「…ねぇ」
「?」
「あの…ぇと……キ…ス、して…?」

嗚呼、何て可愛んだろう。
溢れる愛しさをありったけ込めて、そっと唇を重ねる。

産まれて来てくれて、有難う。





▲end