■■ 言葉にならずにキスをした ■■
初な反応が可愛くて堪らない。
『可愛い』と言うと貴方は怒るけど。
ベッドの上に向かい合って座る。
細い躯を抱き寄せ、薄い唇を舐め上げたら強く肩を押されて顔を離した。
潤んだ瞳に上気した頬…。
「宮田さん、可愛い」
「ッ可愛くなぃ…」
「可愛い」
「可愛くないってば…!」
ぷいっと頬を膨らませそっぽを向いてしまう宮田さんに顔を近付け、こめかみにキスをする。
「ねぇ宮田さん、こっち向いて」
「…やだ」
「宮田さん」
「絶対やっ」
まるで子供みたいな態度に思わず吹き出してしまう。
「何で笑うのっ」
僕は真面目だよ、と此方に振り向いて怒る宮田さんが可愛くて口元の緩みが収まらない。
「もうっ鳥ちゃんなんか知らないっ」
ふんだ、とわざわざ口にして横になってしまうが。
…添え膳喰わぬは何とやら。
襲ってくれと言わんばかりの体勢にまた吹き出しそうになるが、ぐっと堪えて宮田さんの上に覆いかぶさる。
「…僕怒ってるんだから」
「機嫌、直して下さい」
「や・だ」
子供みたいな反応は相変わらずで、可愛くて仕方無い。
枕に顔を埋めた宮田さんのうなじにそっと口付けると、宮田さんはくすぐったそうに身をよじった。
「ゃ…鳥ちゃ…ッ」
堪らず寝返りをうった所で、待ち詫びた柔らかい唇に口付ける。
「んン…っ」
「…機嫌、直りませんか?」
「僕、そんなにお手軽じゃない…」
「じゃあ、もっとキスしたら許してくれますか?」
「ッ馬鹿!」
宮田さんは顔を真っ赤にして、俺の肩口に顔を埋めた。
俺の首にしっかりその細い腕を回して。
そんな仕草が可愛くて堪らなくて。
言葉にならずにキスをした。
▲end