■■ だからこのまま ■■
二人でベッドに横になって。
向かい合って手を繋いで。
「ねえ…」
ふと訪れた間に、俺が口を開いて。
「なぁに…?」
訪れ始めた睡魔を振り払う様に返された声は、甘ったるく囁かれて。
脳の芯がとろけそうに、甘い。
「キス…したい」
柔らかな頬をするりと撫で下ろすと、肯定の代わりに瞳が閉じられる。
重ねた唇は、柔らかくて。
夢見心地になる。
「ん…」
それから何かする訳でもなく、ついばむ様なキスを繰り返す。
唇だけじゃない。
額、瞼、頬…。
全てが愛しいから、全てに所有痕を残したい。
「眠い?」
「ぅん…」
「寝て、良いよ」
「でも…」
視線が逸らされ、恥じらう様に俯いて。
先を促す代わりにじっと見詰めると、口が小さく開いて。
「寝顔見られるの、恥ずかし…くない?」
「うーん…ちょっと」
「だから、直ちゃんも寝よう?」
「うん」
おやすみ、とこめかみにキスを落として、二人で目を閉じる。
目で見えなくても、肌でお互いの体温を感じられて、耳でお互いの吐息が聴こえる。
この距離が嬉しくて、幸せで。
有り得ない筈の永遠を願わずにはいられない。
この幸せがずっとずっと続くと良い。
ずっとずっと、宮田っちと一緒に。
だからせめて、今はこのまま…このままで。
▲end