■■ そっと。 ■■
「宮田さん?」
誰も居ないスタジオ外のソファに、座ったまま寝てる宮田さんを見付けた。
疲れているのか、俺の声は届かない様で一定のリズムで寝息が刻まれている。
「風邪、ひきますよ」
「…」
「宮田さん」
「…」
「…起きないとキスしちゃいますよ」
「…」
あとは勇気だけだ。
天使の寝顔にそっと口付けるだけだ。
口付け…口…。
「何か照れてきた…」
そう、何だかいけない事をする様で。
少し躊躇った。
「…起きなかった宮田さんが悪い。うん。」
自己暗示をして、そっと顔を近付ける。
「ん…」
…柔らかい。
あと何か…甘い気がした。
「何やってんの?」
ドッキ─────ン!
「すっ鈴村さ…!いつからそこに…!」
「ずぅーっといた」
「えと……見て…た?」
「全部見てた」
「ぎゃーッ!ちょ、あの、出来心で!」
「ふぅん…?」
言い訳のしようがねぇ…!
「み、宮田さんには内緒に…」
「しといてあげる」
「あ、有難う御座い…」
「次は無いよ」
目が恐ェ…!
「き、気を付けマス…」
教訓。
宮田さんにちょっかい出すなら誰も居ないか入念に確認する事。
▲end