■■ ぼくらの。 ■■
※この話は、漫画『ぼくらの』をベースに書かれています。
ネタバレにご注意下さい。
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「コエムシが石田さんなんて、ちょっと意外」
「うん、僕もそう思う」
少し前ならきっとモジ辺りをやっていただろう。
宮田君も、そうですね、と笑った。
「でも…今はモジに愛着が湧いちゃって…」
「宮田君らしいね」
「そうですか?」
一つ一つのキャラクターを愛しながら仕事をするなんて、宮田君でなければ出来ない芸当だ。
「でも…やっぱり石田さんがモジじゃなくて良かった…かな」
「どうして?」
「役でも…石田さんが死んじゃうのは、嫌だなって…」
なんて殺し文句だ。
少し照れた様に笑う宮田君は小首をちょこんと傾げている。
あざとい仕草も宮田君がやると許せてしまうのは何でだろう。
「そっか…モジ死んじゃうもんね」
「はい…」
「でも宮田君は僕の傍から離れないでしょ?」
「え?」
「宮田君は死なないし、僕の傍から離れない」
「…そうですね」
ふわりと微笑んだ笑顔が、可愛かった。
「石田さんは狡いなぁ」
「策士と言ってよ」
「はい」
宮田君は、ぼくの。
▲end