■■ 甘く熱い感情。 ■■
「なーおちゃーん」
「…はい」
「わーい、有難う!」
甘えた声で俺を呼ぶ宮田ッチに、あらかじめ用意していた袋を渡した。
「直ちゃん毎年マメだねー」
「宮田ッチが欲しがるからでしょ!」
そう、バレンタインのチョコ。
毎年毎年、ねだられては断れずにチョコを渡している。
「ていうか宮田ッチが俺にくれれば良いと思うんだけど!」
「何で?僕、男だよ」
「俺も男なの!好きな人からチョコ貰いたいと思って当たり前でしょ!」
「そっか…それもそうだよね」
ちょっと考え込んでから、宮田ッチは食べかけていたチョコを歯で挟んだ。
座っている宮田ッチからすると、立ってる俺を見上げる形になる。
「はい。あげう」
「なっ…」
何て可愛い事してくれるんだ。
…この際このチョコを俺があげたって事は忘れよう。
「じゃあ…頂きます」
唇を合わせて、チョコを口で受け取る。
甘い甘いチョコ。
「来年は僕も用意してあげるね」
「渡し方は今ので良いから」
「気に入った?」
「…宮田ッチがチョコの味してるみたいで、良かった」
「直ちゃんゲンキンなの」
「良いの!」
甘い甘いチョコ。
甘い甘い、恋人。
▲end