■■ 可愛いは正義。  ■■





ファミレスでのヒトコマ。

「え、何?」

きょとんと此方を見る宮田さんに肩を落とす。

「聞いてなかったんですか…」
「ごめんごめん、パフェのね、ここんとこに上手くスプーンが入らなくて…」

宮田さんはむつかしそうな顔をして、高いグラスの中程を指さしながらスプーンをぐりぐり突き刺している。

「あー、はいはい。」
「…何その反応」

むすっと此方を見る宮田さん。

「だって宮田さん、俺の話よりパフェの方で手一杯みたいですから」

そう言うと宮田さんはきょとんとしてじっくり此方を見た。

「拗ねてるの?」
「違います」
「あ、拗ねてるんだぁ」

新しいオモチャを与えられた子供みたいな反応。

「違いますってば!」
「まぁ…そういう事にしといても良いけどねー」

ふふん、と鬼の首をとった様な態度。

「こンの…」
「意外と甘えったがりなんだねー」

楽しそうで仕方が無いといった所。

「よっちん、可愛い〜」

わしゃわしゃと頭を撫でられて、何だか犬になった気分だ。

「…もう、好きにして下さい」

溜息ついて、パフェから俺に興味転換した宮田さんから目を逸らす。
この人には敵わないのは解ってるから。
だって、この人は可愛いから。






▲end