■■ 月が溶ける夜。  ■■





「メリークリスマス!」

二人でダイニングテーブルを挟んで、ワインで乾杯した。
俺も宮田さんも余りイベント事には拘らないタイプだが、
今年は二人してクリスマスに休みだった事もあって、ケーキを買う事にした。

「何かクリスマスって感じだねー!」
「そうですね。プレゼントとかあったら完璧なんですけどね」
「えー!?贅沢ー」

あはは、なんて二人で笑って。

「じゃあ宮田さんがプレゼントで」
「え?」
「宮田さん自身をプレゼントに下さいよ」
「何それ…!」

急に顔を赤くする宮田さんが可愛らしい。
俺には、宮田さんと一緒に居られる時間がもうプレゼントみたいなものなんだけど。

「僕なんて……最初から全部、櫻井君にあげてる…のに……」

しゅん、と可愛い事を言う宮田さんに絶句する。
何て可愛い事を言うんだこの人は。
解っててやってるならとんでもない小悪魔だ。

「…櫻井君?」
「あ、いや…嬉しくて」
「嬉しい…?何が?」
「宮田さんがプレゼントで」
「な、何か素直に喜ばれたら逆にあげたくなくなる…」
「でも、俺のもの…なんでしょ?」
「…櫻井君の意地悪」

少し拗ねた顔をした宮田さんにキスをした。
それから、舌を絡めた熱いキスをした。
熱い舌は、ワインの味がした。

「…メリークリスマス」






▲end