■■ 線を越える。  ■■





「……な…かわく……浪川君、浪川君」
「……ん」
「目、覚めた?」

宮田さんの声がすると思ったら、にっこり微笑んだ宮田さんが此方を覗き込んでいた。

「あ……お早う御座います…」
「お早う」

起き上がろうとして、自分が一糸纏わぬ姿だった事からふと、昨晩の事を思い出した。

「宮田さん、あの…」
「何?」
「体…痛まないですか?」

そう言うと、宮田さんの顔がみるみる真っ赤になった。

「そりゃ痛いよ…!初めてだったんだから…!」
「初めて…」

宮田さんの初めてを頂いた事にちょっとばかり顔が綻んでしまった。

「……浪川君、今喜んだでしょ」
「えっいやっ」
「嬉しそうな顔してるんだもん」
「してないですって!」
「してる!」

むすっとした顔は頬が真っ赤で可愛くて、余計嬉しくなる。

「もう!」
「宮田さん、照れてるんですね」
「な、別に照れてない!」
「はい」
「何その顔!」
「元からこの顔です」
「〜ッ!」

拗ねた顔もまた可愛くて。

越えてはいけない一線な気がして今まではキスしかしなかった。

「…浪川君?」

こんなに、いつもみたいに変わらない笑顔をくれるなら、また…線を越えても構わないだろうか。

「宮田さん…大好きです」
「な、何、急に…」
「大好きです」






▲end