■■ 花‐MuguetFleur‐ ■■





「宮田さん、小動物みたい…」
「なっ!安元君がおっきいんだよ!失礼な!」

つつくと、じゃれて来る。

「でも何かこう…チワワとか…あんな感じで…」
「あんなに可愛くないし!」
「いや…可愛い、ですよ」
「可愛く…ない…!」

ちらりと視線を逸らして、赤い頬を隠そうとする仕草は、やっぱり可愛いと思うけど。

 ぽむ…

宮田さんの頭に、右手を乗せる。
掌に馴染む、小さな頭。

「…何か…見下ろされてる感じがする…」
「可愛いのに」
「むぅ…可愛くないったら…」

 ぎゅ…

今度は腕の中に。
すっぽり収まる小さな躰。

「な、何…?」
「俺には、宮田さんが、可愛くて堪らないのに」
「……もう」

背中に、小さな掌の感触。

「良いや、可愛くて」
「あんなに嫌がってたのに…良いんですか…?」

宮田さんが嫌なら、やめるのに。

「…安元君だけなら…赦してあげる…」

甘い溜息が聴こえた気がして。

「ハムスターでもチワワでも、何でも良いや…」
「…ハムスターにも似てるかもしれない」
「またちっさい動物!」
「宮田さんが自分で言ったんですけど…」
「あれ?」

可愛い人。





▲end