■■ 心配かけてゴメンね? ■■
「成田さんッ!」
「あ、宮田君」
玄関のドアを開けたら、泣きそうな顔の宮田君に抱き付かれた。
「『あ、宮田君』じゃないですよ!脚、怪我したって…」
「まあ、入りなよ」
ダイニングで、向かい合って座る。
可愛い顔が仏頂面で。
「……」
「怒ってる?」
「怒ってます!」
「でも、ちょっと足首捻っただけで、ちゃんと歩ける…」
「そういう事じゃないんです!」
そう言うと宮田君は俯いてしまった。
「怪我したのに、連絡もくれないで……人から初めて成田さんの怪我の事聞いて…僕……」
ぽつん、と雫が落ちた。
「僕、悔しくて……そんなに成田さんに信頼されてないのかな、て…悲しくなっちゃって…」
「宮田君…」
申し訳無いと言うか、やっぱりと言うか。
「そうやって心配すると思ったから、言うに言えなかったんだよ」
「成田さ……僕、迷惑掛けて…」
「心配されるのは嬉しいんだよ?」
「ぇ?」
「でも、宮田君には、微笑ってて欲しいから」
「成田さん…」
「ごめんね、言わなくて」
「や、ごめんなさい!僕…」
「ううん。有難う」
不安気に涙で揺れてた瞳が、微笑った。
「有難う、宮田君」
▲end