■■ 甘ったるい情事 ■■
「ねぇ宮田ッチ」
「なぁに?」
「最近…一人でシた?」
間が二人の間に流れて、宮田ッチが呆れ顔で此方を向いた。
「…何、高校生みたいな事言ってるの…?」
「いや!だってさ、これからに関わるから!」
「これから…って?」
素できょとん、とする宮田ッチにわざと気障に決めてみたり。
「今晩、寝かさないから」
「……搾り取る気だ」
「当前!折角久し振りに会えたんだから!」
会いたくて、触れたくて堪らなかった愛しい人が、今俺の横に居る。
嬉しくて嬉しくて、舞い上がってるのが自分でも解る。
「宮田ッチは只でさえ体力無いんだから」
「む…体力無いのは余計でしょ!直ちゃんが年相応じゃないんだよ!」
必死に、怒って言い訳する姿すら可愛くて。
「ねぇ…宮田ッチ…」
とっておきの甘い誘惑の声。
首筋に手を添えて、耳元で囁く。
「シよう…?」
顔を離すと、宮田ッチの顔は心なしか赤らんでいて。
俺が囁いた耳に手をあてて一言。
「反則だ…」
だって、弱いの知ってるから。
宮田ッチの躯なら、髪の毛から爪から肌から何から何迄知ってるんだから。
「ベッド、行こうか…」
宮田ッチの手を引いてベッドへ行く。
何回やっても未だに照れるのか、宮田ッチは足取りが遅い。
それでも二人並んでベッドに腰掛けると、何だか俺迄照れ臭くなって来る。
「直ちゃん…?」
「ううん、宮田ッチは可愛いなぁ、と思ってた」
「な、もう、何…」
「食べちゃいたい位だよ」
そう言って不意打ちのキス。
角度を変えて、何度も何度もついばむ様にキスをする。
「ん…っな、直ちゃ…んっ」
「何?」
「…ぁ……何でも、無ぃ…」
宮田ッチはきっと『物足りない』筈。
舌を絡めた、深いキスが欲しい、って宮田ッチに言わせたい。
だからまた、触れるだけのキス。
「ん…ッ!」
そしたら宮田ッチは、俺の首に腕を回して、自分から俺の唇を舐め、舌を入れて来た。
「ぅ…ん…ッん……うぁ…」
応える様に、激しくて濃厚で、蕩ける様な甘いキスをする。
「は、ん…ぅ…んン…」
耳に響く唾液の音。
逃げる舌を追い掛け、絡め、吸う。
「…ッふは、ぁ…ん…!」
時折漏れる宮田ッチの甘い声が、俺の理性の螺子を一つまた一つ、外していく。
「な…ぉちゃ……ん…」
細い肩をそっと掴んで、唇を合わせ舌を絡めた侭宮田ッチの躯をベッドへ倒す。
「……ん、ぅ…は…ぁ」
ゆっくりと顔を離す。
甘く蕩けた瞳が俺を捕らえてるのが嬉しくて。
宮田ッチのシャツの釦を外しながら、頬が弛んでしまう。
「直ちゃん…?微笑ってる、の…?」
「うん。今宮田ッチは俺の事で頭一杯になってる筈だから」
「なっ…なってないょ…!」
「嘘吐き」
「ぅ〜…何か悔しぃ…」
頬を真っ赤に染めながら、俺の服を手際良く脱がす宮田ッチは凄い。
何気に俺でさえ、着るのも面倒な服だから。
「宮田ッチは相変わらず肌、白いね」
「直ちゃんだって…」
胸に触れられた瞬間、心臓が破裂するかと思った。
温かい、宮田ッチの掌。
待ち焦がれた、愛しい人の肌。
「ひぁ!」
「相変わらず、胸、弱いんだね」
「違…ッ!弄る…から…ぁ!」
「それって…俺が触るなら何処でも感じるって事…?」
「そ、それは…ッ痛!」
「正直に答えてくれたら、噛まない」
「ぇ……あ」
俯いて困った顔をする宮田ッチは好きだ。
いつもに増して、可愛いから。
「また噛んじゃうよ?」
小さく膨らんだ胸の突起を甘噛みしながら、宮田ッチの顔を見上げ伺う。
「は…ぁん、待っ……あ!」
「ねえ…教えて?」
こく、と喉が鳴った気がして。
「な……直ちゃんに触られると…過敏になる…かもしれなぃ…」
「かもしれない?」
「ッ痛、ぁ!」
「痛かった?ごめんね。言わせてみたかったから」
にこりと微笑う。
宮田ッチの反応が可愛くて、愛しくて、愛しくて…。
「直ちゃん…仕返しするよ…?」
こういう、負けず嫌いな所も好き。
「うん。弄ってよ…」
取って置きの挑発的視線で宮田ッチを誘う。
俺だけを見て。
俺だけのモノになって。
「じゃ…直ちゃん、横になって」
言われるが侭に仰向けに寝転がる。
俺の躯を跨いだ宮田ッチの体勢や表情は良く見えない。
すると、脇腹辺りの素肌を濡れた感触が伝う。
宮田ッチの舌。
生温かくて…気持ち良くて…。
「ん…」
「ッは…、胸は…舐めないの…?」
「んぅ…焦らしてるの…」
上目遣いでそんな可愛い事、言わないでよ。
理性はギリギリなんだ。
「直ちゃん…気持ち…良い…?」
嗚呼、もう駄目だ。
「ゎあっ!?」
「今度は俺が弄る番」
「え、ちょっ…」
宮田ッチを組み敷いて、腹から胸を舐め上げる。
舐めて、吸う。
「ぁ…あ…んっ!直ちゃ…ん!」
「んー……痕、付けてるから、安心して」
「やっ、駄目…ッ」
「大丈夫…見えない所だから…」
宮田ッチの真っ白い肌に、丁寧に執拗に、一つ一つ痕を残す。
独占欲にまみれた所有痕。
「ぁ、やっ…!待っ…あ!」
唇をその侭下ろして行き、兆し始めた宮田ッチ自身の裏筋を舐め上げる。
「ん!だ、め…ッ」
「そう?じゃあやめる」
「…う、ぁ……?」
ぱっと素早く顔を離し、太腿から脹ら脛を撫でながら舐める。
「ぁ、ん……直…ちゃ…」
「何?もうそろそろ挿れるよ?」
「やっ、待って…慣らさない、と…痛い…」
「ん、解ってる。だから、言って?」
「え、何…」
「お願い、してみて?」
此れは、一つの合図。
Sっ気の強い宮田ッチには屈辱的かもしれない。
でもそうやって嫌々ながらも、快楽を求めて恥を捨てる宮田ッチが、見たい。
「ぅ…」
宮田ッチは躯を反転させ、顔を枕に埋め腰を此方に突き出す。
「な…慣らして…」
嗚呼。
何て卑猥で、何て淫靡な光景。
可愛くて堪らない。
「うん。お願いされたら、仕方無いよね」
「だって…直ちゃんが……ひぅあぁッ!」
突き出された桃尻に口付けを一つ落として、秘部に舌を突っ込む。
「んンッ!ぅあ…ぁ!」
甘い声が、苦しそうに呻いてる。
宮田ッチの中は熱くて、キツくて。
唾液を流し込んで、濡らして、顔を離し左手の中指を差し込む。
「んぅ、あ…ぁ…!」
「未だ痛い…?」
「平…気……だから…」
「じゃあ、指増やすよ」
中指を舐め、人差し指に添えまた差し込む。
「うぁ!ッあ…は、う…!」
「痛い…?」
ぐりゅぐりゅと指を中で動かすと、苦しそうな艶めいた声が漏れる。
「未だ…少し……ッ痛」
痛みに萎えた宮田ッチの自身に右手を伸ばす。
「はぅ…っあ!な、ぁ…や、ん…ッ!」
「コッチは…気持ち良い…?」
「んっ!良ぃ…ぃあ!」
中もほぐれて来た。
好い頃合い。
「っ…ねぇ、少しだけ舐めて…」
そう言うと、蕩けた顔をした宮田ッチは直ぐに俺自身を咥えた。
一心に、不乱に。
「…此れで…良い…?」
「うん…有難う」
準備は整った。
「もう一回、先刻の体勢になって?」
「ぅん…」
唾液が滴る入り口をぺろりと一舐めして、熱く猛った自身を宛がう。
「挿れるよ…」
「…ッぁあ!ぅあ、ぁ…!」
「も、少し…ッ」
「やっ、ダメ…ッ!おっき…ぃあ!」
痛みを訴える宮田ッチの声が耳に入らない。
早く挿入りたい。
早く一つになりたい。
早く俺でいっぱいにしたい。
「やっ、あ!直…ちゃ…ん!」
「は、ぁ……挿入ったよ…全部…」
「ぇ…」
「解る…?俺…宮田ッチの中に、いるよ…」
「…はぅ…ぁ…直ちゃ…ん…」
熱い宮田ッチの中で脈を感じる。
それが俺の物なのか、宮田ッチの物なのか解らない。
だって今俺達は、一つになってるんだから。
「…動いて…良いよ…」
「でも…辛くない?」
「直ちゃん…だから、平気…」
こんな時迄可愛い事を言う。
吹っ飛んだ理性は戻りかけてたのに。
「ひぁ!んあぁッ!ぅ、あっ!あぁ!」
ぎゅうぎゅう締め付けて来る宮田ッチの中を掻き乱す。
出して入れて、出して入れて。
気持ち良くて。
宮田ッチと一つになれたのが嬉し過ぎて。
理性なんてまた何処かへ飛んで行ってしまった。
「あぁッ!あ!ん…んぅ…!」
「ね、良い…っ?気持ち…良い…?」
「んっ良い…ぃあッ!あぁ!」
細い腰を掴みながら、熱い宮田ッチの中に欲望をぶつける。
片手を空け、宮田ッチ自身を擦る。
「ひぅあ!やっ、直ちゃ…あっ!駄目ッ駄目ぇ!」
腰の動きと手の動きを合わせて、快楽を貪る。
「直ちゃ…んっ!僕、もぅ…だめ、駄目だよぉ…!」
「俺も…もう…っそろそろ…イきそ…ッ!」
「は、あぁ…!直ちゃん…直ちゃん…っ!」
「宮田ッチ…出すよ…!」
「んっ!出して…!直ちゃんの、頂戴…っ!」
熱いのが込み上げて来て、宮田ッチの中に白濁を吐き出した。
掌には、宮田ッチの白い愛液。
「…宮田ッチ……最近独りでシたでしょ…」
「な、何…で…?」
荒い息を繰り返す宮田ッチの背中にキスを落とす。
「薄い。」
「……だってずっと直ちゃんに会えなくて……会えると思ったら…躯が疼いて…勝手に……」
枕に顔をうずめていて表情は見えないけれど、宮田ッチの言動全部が可愛くて愛しくて堪らない。
「ぁれ…え、薄い…って舐めたの!?」
「うん」
「な、や…なん…ッ!」
此方に振り向き顔を真っ赤にして慌てる宮田ッチは、こういうのいい加減慣れても良い筈なのに…初な反応が可愛過ぎる。
「宮田ッチの味」
微笑って、宮田ッチので濡れた掌や指を舐める。
「馬鹿…ッ!」
ぽすん、と枕を抱き締める宮田ッチを真後ろから見詰める。
脚を曲げ、横になる宮田ッチ。
「…凄いエロい」
「ふえ?」
「その体勢とか…」
体勢もそうなんだけど…。
臀部から太腿へ伝う、先刻俺が吐き出した欲望の残滓。
どろりと、白い液体が太腿を伝ってる。
「…ヤバい」
「何が?」
少しムスっとした声すら可愛く思える。
もう、駄目なものは駄目だ。
「ひあッ!?ちょ、直ちゃん!?」
「ん、舐めてる」
「そうじゃなくて…ッ!脚…ッ!」
「宮田ッチ、膝の裏弱いよね」
「違…ぅ!ッん…ン!」
「…躯は正直」
「直ちゃ…ん、の…馬鹿…ッ!」
強がりも可愛い。
膝裏を舐めながら、脹ら脛から膝、内腿を撫で上げていく。
「…ほら、少し勃って来た」
「な、直ちゃん…!駄目…!」
宮田ッチの精でまみれた手で、宮田ッチ自身を抜く。
くちゅくちゅと卑猥な音と、宮田ッチの甘い吐息と声が部屋に響く。
「だ…め…っん!は…ぁ、あ…」
宮田ッチ自身は固さを増して来ていて。
俺は、躯をずらして宮田ッチの頭に顔を近付ける。
快楽に悶える宮田ッチの耳元で、出来得る限りに厭らしく囁く。
「ほら…宮田ッチの、また元気になって来た……」
「ゃん…やめ…っ!ふ、ぁ…」
「先っぽからまた出て来た…くちゅくちゅ言ってるよ…」
「やぁ…!直…ちゃん…っ!は、ぁ…ぅ」
身悶えて仰向けになった宮田ッチに、覆い被さる。
「…宮田ッチ、凄いエロい顔してる…」
「は、ぁ…あっ!…見なぃ…で…!」
宮田ッチのこんな顔見れるのは俺だけなんだと思ったら、見ない訳にはいかないんだけど。
「ッ直ちゃ…僕、もぅ…ダ、メ…!」
「…じゃあ…挿入れるね…?」
「んっ、早く…して…!」
宮田ッチの膝裏を抱え上げ、人差し指を突っ込む。
つぷり…と、先刻の自分の白濁が潤滑油になってスムーズに指が出し入れ出来る。
「凄い…宮田ッチ、先刻の俺のが出て来てるよ…じゅぶじゅぶしてる」
「ゃ、だぁ…!」
指を二本に増やして、熱い中を掻き回す。
先刻と違って、ぐちゅぐちゅと卑猥な音が聴覚と下半身を刺激する。
「やめ…っ!直…ちゃん…!」
そんな艶めいた切ない声で呼ばないで。
理性吹っ飛んで、滅茶苦茶に掻き乱しちゃうよ。
「挿入れる…よ…」
「早く…ッして…」
担ぎ上げた宮田ッチの脚を肩に乗せ、濡れた秘部に猛った自身を一気に突っ込む。
「ひあぁッ!うぁ、あ…!」
「中…熱い…」
「は、ぁ…直ちゃ…ん、のも…熱ぃ…」
嗚呼もうこれ以上、煽らないで。
「ぅあッ!ひぅ、あ!あぁ!ンッ、んぅあ!」
「ごめ…もうッ、無理…!」
そこからは一心不乱だった。
キツくて熱い中は、とろける程気持ち良くて。
もっと、もっと、って欲望ばかりが先走って。
熱い結合部分からは、白濁に混じってぬちゅぬちゅと卑猥な音がして。
ぐっ…と深く突き刺すと、宮田ッチの悲鳴みたいな甘い声があがる。
「や、ぅあぁ!あッ!ぁあ!」
「良い……宮田ッチ…凄い、良い…ッ!」
「ぁ、あ!な…ぉちゃ…あぁッ!」
淫らな嬌声と。
淫らな水音と。
「ぅ、あ!んあぁ!ッ…はぁ!」
普段からは想像もつかない、俺だけが知ってる宮田ッチの淫靡な姿。
汗ばんだ白い肌がほんのり紅く染まって。
細い腕が必死に縋り付いて来て。
仰け反る白い喉が堪らなく扇情的で。
快楽に身悶える宮田ッチのこの姿は、俺しか知らない。
「ん、もう…ッ出そう…!」
「はぁ、ん…出して…良ぃ…よ、…ぁあッ、な…中、に…!」
「ぁあ…で、る…!んっう、ん!」
どくん…と脈打って、熱いのがどくどく吐き出されて。
余韻が微熱みたいに残ってるけど、自身を宮田ッチから引き抜く。
ぬちゅ…と、白濁にまみれた自身に思わず厭らしさを感じてしまう。
「はぁ……は…」
「直ちゃんの……熱い…」
「あ、ごめ…っ」
「うぅん……嬉しい…」
汗ばんだ背中に掌が触れたのを感じて。
肩に掛けていた脚をそっと下ろし、掌に抱かれる様に宮田ッチの上に寝ようとして気付いた。
「ぁ…宮田ッチもイッたんだ…」
「ぅ、うん……ひぁっ!ま、また舐め…!」
「綺麗にしてるの。俺、これから此処で寝るんだから」
「…んっ」
宮田ッチが自らの肢体に出した愛液を丁寧に舐め取る。
腹から胸から、丁寧に。
「普通に…拭いたら…良い…ッ」
「だって宮田ッチのだもん……美味しいよ」
「美味しい訳無…ッい!」
「ううん…美味しい」
そりゃ美味しい訳ないけど、宮田ッチのだと思ったら苦みも何も関係無い。
宮田ッチの全部が愛しくて。
宮田ッチの全部が欲しい。
「んっ。おっけ」
舐め終わった所で、宮田ッチの胸に倒れ込む。
「はふー…。ごめんね、中に出して」
「うーん、後で大変だけど……良いや」
「良いんだ」
二人で、くすくす微笑い合う。
抱き締め合って、お互いの肌を感じて。
「あー…俺、凄い幸せ」
「幸せ…?」
「だって俺、宮田ッチと一緒に居れるだけでかなり幸せ感じるんだけどさ」
それにプラスして、こんなにお互いの存在を、体温で感じる事が出来る。
「これ以上の幸せなんて思い付かないよ」
「直ちゃん…」
寝返りを打って、改めて抱き締め合って、見詰め合う。
「…何か照れくさいね」
「直ちゃん…あれだけの事しておいて今更恥も何も無いよ…」
「あはは、確かに」
行為なんて二の次。
宮田ッチが腕の中に居る事が、一番大事なんだから。
▲end