■■ 欲動カタルシス ■■
「…好きです」
「へ?」
「俺は、宮田さんが、好きです」
「…平川君……て、男だよね?」
「はい」
「んと、僕も、男…なんだよね」
「はい」
「ぇ…えと……」
「…俺は…性別とか関係無くて、好き…なんです…!」
「平川君…」
困った顔をしているのに、此方を真直ぐ見詰める宮田さんの瞳は揺れていて。
「…そうだね。『好き』って気持ちから『性別』を理由に逃げるのは狡かったね…。ごめん」
宮田さんは、哀しそうに微笑っている様に見えた。
「僕は…こんな仕事してるし、恋愛に性別云々言うつもりは無いんだ、ホントは」
「宮田さん…」
「でも、平川君がそれで諦めてくれるなら、そうして欲しかった」
「どうして…」
視線が、哀しそうで、痛い。
「僕も、平川君の事、好きだから」
「え…っ」
嬉しい、けど解らない。
「平川君にはちゃんと、綺麗なお嫁さん貰って欲しかったな」
「そんなっ…」
「その方がシアワセ、でしょ?」
握った拳が震える。
「俺はッ…宮田さんがいなきゃ幸せになんかなれないです!宮田さんが…いなきゃ…!」
「平川…君…」
今度の微笑みは、嬉しそうな微笑みだった。
「僕の気紛れ・我儘、大変だよ?」
「全部受け止めます」
「楽しみだね」
貴方の全てが、俺の全てだから。
貴方を一生、愛し貫くから。
「平川君」
ずっと微笑って俺の傍にいて。
世界で一番愛しい人。
▲end