■■ モノトーン ■■





感じていた違和感。

「遊佐君ってば白い!」
「…は?」
「服!いつもは黒い服ばっかりなのに」
「…ああ」

そうか。
違和感は、この人が。

「今日、皆して衣装が白系で僕だけ浮いちゃったよ」

拗ねた表情。

「宮田さんが黒い服なのも珍しい気ィしますけど」
「これね、直ちゃんが選んでくれたんだよ。此間久し振りに一緒に買い物に行った時に」
「へぇ。似合ってますよ」
「本当?有難う」

お世辞でもこの人が微笑ってくれるなら、俺は笑顔で嘘を吐く。
『高橋直純』
苛つくのは、何故。
堪えようと思うのは、何故。
この人が。

「でも遊佐君、白も似合うんだねー。もっといっぱい着たら良いよ!」
「じゃあ今度一緒に買い物でも行きましょうよ。白い服を買いに」

俺の言葉一つ一つに表情を変える、この人が。

「うん!腹黒同士ね!」

無邪気な笑顔で俺の心を掻き乱す、この人が。

「はは。腹黒同士、ですか」

俺に笑顔で嘘を吐かせるこの人が。

「遊佐君も僕も、腹黒なんだから」
「そうですね」

この人が腹黒なら、こんなに愛らしく微笑う筈が無いのに。

嗚呼そうか。
俺はこの人が。

好きなのか。





▲end