■■ サクラサク ■■
春の兆しが、気分も少し浮かれ気味にさせているのかもしれない。
「見てっ!桜だ!」
「まだ五分咲き…って所だね」
「お花見したいなぁ」
「宮田君、休みあるの?」
「…作る!」
「またマネージャーさんが泣くよ」
「だって!お花見は日本の文化だよ!」
真面目な顔で可愛い事を言う宮田君に、頬の筋肉も自然と弛む。
「何笑ってるの?」
「ん?可愛いなぁと思ってさ」
「…何が?」
「宮田君が」
一瞬の間の後、瞳を大きく見開いてから視線が俺から桜に移る。
「どうかした?」
「別に…っ」
隠してるつもりなんだろうけど、ちらりと見える頬は赤らんでる。
「照れてるの?」
「照れてないッ」
「やっぱり、照れてる」
「照れてないってば!」
反論と一緒に勢い良く此方を向いたは良いけど。
「宮田君」
「ふぇっ?」
「顔、真っ赤だよ」
固まってしまった宮田君に、頬にそっと手を伸ばすとやっぱり、熱かった。
「嘘吐き。」
「こにたんの所為だもん…」
「そっか」
どうしようか、頬の緩みが止まらない。
「…また笑ってる」
「うーん…。お花見、いつにしようか」
「あー!誤魔化した!」
可愛い。
桜なんかより、ずっと、君を見ていたい。
大好きだよ、俺の可愛い人。
▲end