■■ 君に。 ■■
君に逢えて良かった。
暗い道も、君を目指して歩けた。
君に逢えて良かった。
独りの夜も、君を想えば恐くなかった。
君に逢えて良かった。
「…どうしたの、直ちゃん」
「ん…どうもしない…」
座っていた宮田ッチの細い腰に抱き付いて。
顔を埋めたら、ほんのり宮田ッチの匂いがした。
どうしようもなく、理由もなく不安になる時がある。
そんな時、俺を優先に考えてくれる優しい君に感謝と、感動を憶えた。
「なおちゃん…体勢が苦しいよ…」
「あ、ごめ…」
慌てて躰を離して、宮田ッチが座り直した所にまた抱き付く。
「なおちゃーん」
「何?」
「…何でもない」
腕から、頬から額から伝わって来る宮田ッチの体温は心地良くて。
「宮田ッチ…」
「ん?」
「大好き」
「…何?」
「大好きだよ」
「…どうしたの、直ちゃん」
恥ずかしくて宮田ッチの顔が見れなくて、腰を抱く腕に力を込めて顔を隠した。
「直ちゃん…?」
恥ずかしくて、返事も出来なくて。
唯々溢れて来る感情に体温が上がるのを感じた。
宮田ッチに逢えて良かった。
一緒にいられて良かった。
宮田ッチを好きで、良かった。
▲end