■■ 優しい人 ■■





宮田っちは、俺が遊びに行くと笑顔で迎えてくれる。

「直ちゃんっ」

嬉しそうに俺に寄って来る姿はまるで子犬みたいで凄く可愛い。

「そんなに俺に会いたかった?」
「…うん…会いたかった…」

直ちゃんはいつも忙しいから、と宮田っちは俯いてしまった。

「ごめん、寂しがらせちゃったね」
「ッううん!直ちゃんこうやって会いに来てくれるし、毎晩電話してくれるし…だから寂しくないよ」

宮田っちは聞き分けが良過ぎる。
派手な我が儘は言わないし、いっつも自分より他人を優先させてるし。
宮田っちは…優しいから。

「もっと甘えて良いんだよ」
「それは直ちゃんも。頑張り過ぎないでね」

またそうやって、俺の心配。

「ちょっと待ってて」

キッチンに向かう宮田っちの背中を見詰める。
先刻まで色々真面目に考えてたのに、宮田っちが料理してる楽しそうな姿を見てたら何だか大丈夫な気がして来た。
優し過ぎる所も宮田っちの魅力の1つだし。

「召し上がれっ」

出されたラーメンより宮田っちの笑顔に幸せな気分になる。

『大好きだよ』

言わなくても伝わるから、麺と一緒に言葉を飲み込んで宮田っちに微笑みかけた。





▲end