■■ 可愛い君が好き ■■
ラジオが始まってから週に一度、必ず宮田君に会える様になった。
出演作品が余り被ってない所為もあるんだろうけど、俺は宮田君の事を全然知らなかった。
毎週顔を合わせて、話をして、宮田君には驚かされてばかりだ。
「ホントに不味い物食いなんだね…」
「ん…そうですか?」
食べていたイカチョコを嚥下して宮田君は此方を凝視めた。
「そんな事無いですよ」
「いや、俺はそれ食べられないよ…」
「美味しいと思うんだけどな」
苦笑混じりの俺に宮田君は独り言の様に呟いて、手の中のイカチョコに視線を移した。
「俺も食べたけどさぁ…」
半ば呆れ気味な俺に、宮田君は少し申し訳なさそうに此方を伺った。
「あの、嫌…でしたか?」
「いや。美味しそうに食べてる宮田君を見るのは好きだから」
微笑んで言うと、宮田君は安堵の表情を浮かべた。
その表情が存外可愛くて。
顔を近付けて宮田君の薄い唇をぺろりと舐めた。
「えっ…?」
「唇は甘いね…チョコの味」
きょとんとしている宮田君に微笑んで言うと、宮田君は途端に顔を赤くして怒り出した。
こんな表情の宮田君は、俺だけが知ってると良いんだけど、ね…。
▲end