■■ そんな日常 ■■





聴き慣れた、可愛い恋人専用の着信音に心臓がトクンと音を立てる。

『セイントビーストニュース』

なんて、いつも同じ件名で始まるメールの遣り取り。
この文面を、拙い指先で伝えようとしている幸季を思い、自然と口元が緩む。
メールで次に一緒になる収録日を確認して、日が開いている様ならその前に会う予定を入れる。
気が付けば、これが日常になっていた。

次に幸季に会えるのは4日後…。
今回は何処に何を食べに行こうか。
幸季に任せたらきっとまたラーメンになりそうだから、俺のいつも行く店にしよう。
また肉ですか、なんて怒られるだろうか。
でも幸季は細っこいからもう少し位太った方が良い。
抱き締めた時に、力を込めたら壊れてしまう気がして、いつも一瞬躊躇ってしまう。
白い肌にくっきりと浮かぶ鎖骨や肩甲骨、掴むと少し骨張った手足首、細く華奢な腰…。
あれはあれでなかなか…なんて思ってしまった自分に頭を振り、携帯の画面に視線を戻す。

次に会う幸季はどんなカオを見せてくれるだろうか…。
4日後を楽しみに、携帯を握る手に小さく力を込めた。





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