■■ 反則 ■■





楽屋に帰って来るなり、真っ赤な顔をした宮田さんに怒られた。

「何であんな事したのっ!?」

ぐぐっと身を乗り出されても。

「あんな事って…俺何かしましたっけ?」
「した!!僕の事抱えたでしょ!」
「あぁ」

納得していると、宮田さんは唇を尖らせた。

「すっごく恥ずかしかったんだから!!」

ぷいっと横を向いてしまう宮田さんに、少しやり過ぎたかと後悔する。

「だって宮田さんが可愛いから」
「言い訳になってないっ」
「可愛いって…宮田さんだからですよ。宮田さんが特別です」
「…」

すると宮田さんは俯いて黙り込んでしまって。

「宮田さん?」
「…反則」
「え?」
「そゆ恥ずかしい事平気で言うんだから…」

俯いたままの宮田さんに腕を伸ばし、細い体を抱き締める。

「浪川君は反則ばっかり…」
「宮田さんだって」
「僕は浪川君みたいに恥ずかしい事しないもん」
「宮田さんは可愛さが反則」
「…可愛くない」
「可愛いです」
「浪川君の強情っ張り…浪川君なんか嫌い」
「嘘つき」
「本当だもん」

宮田さんは頑固だから、溜息一つついてそのまま無言でいたけれど。
背中に回された腕に力が込められたのが、宮田さんの嘘の証拠。

『もう少しこのままで…』





▲end